5.高島市の都市戦略

琵琶湖と豊かな森林、大小の河川等、自然に恵まれた本市には、その自然環境に育まれた独自の生活文化が息づいている。発酵食品をはじめとした食文化、海津や針江に見られるような水と深く関わった生活から生まれた文化的景観、自然の恵みをものづくりへと活かした伝統工芸や各種工房等、まさにスローライフ、ロハスなライフスタイルと言えるものが自然と培われている。
また、近江聖人と称えられた中江藤樹により安曇川に開かれた藤樹書院での教え等、全国に広がり、多くの人々より慕われた、心の教育が本市には根付いている。
東日本大震災を契機に、国民全体の価値観は、モノや経済の豊かさから心の豊かさ、また安心・安全な生活環境を重んじる価値観へとシフトしている。
本市は人口減少・高齢化や産業の衰退が近年継続しており、経済的成長のみの観点からは厳しい状況が続いてきた。しかし、大きく社会全体の価値観が変化する中、高島市ならではのライフスタイルの価値を見直し、その魅力に一層の磨きをかけ、全国に発信していくことが、今後の地域活性の活路となるものと考える。
本市ならではのライフスタイルの中心には、「自然との共生」、「食育と健康・医療」、「心を育む教育」がある。これらは古くからの日本らしさと、将来の姿として今望まれている日本らしさの軸となるものであり、これらを中心に市民生活を豊かにしていくとともに、本市独自の産業を発展させていく。その実現に向けては、特区の指定による制度改革や、絞り込んだ物やサービス等の提供による国外もにらんだ集客等、より踏み込んだ取組を行政・民間の連携により推進していくこととする。本市で暮らすことが人生に対する自信と誇りにつながっていくような地域の形成を目指し、定住人口の維持・増加と持続的な地域経済の実現を図ることとする。