3.高島市のポテンシャル

(1)文化的景観

 

 

 
本市には、「高島市海津・西浜・知内の水辺景観」の他、「高島市針江・霜降の水辺景観」が国による重要文化的景観として指定され、全国にも類を見ない景観が見られる。海津・西浜・知内では、琵琶湖をはじめとする河川や内湖のほか、湖岸の石積みや共同井戸、知内川で続けられている伝統的なヤナ漁など、多様な水文化が現在も存在している。また、針江・霜降では湧水を活用したカバタと呼ばれる独特の洗い場を多くの家庭が有しており、湧水は重要な生活上の資源として湧水点では石造物等が祀られ地域住民によって維持・管理されている。
(高島市海津・西浜・知内の水辺景観)

 
 

  (高島市針江・霜降の水辺景観)

   
 
 
 

(2)豊かな食文化

   
 

 
本市は、年間を通じて湿度が高く昔から発酵に適した風土・気候である。琵琶湖で獲れる湖魚をはじめ多種多様な農作物が栽培され、豊富な農水産物に恵まれてきた。また、京都と若狭を結ぶ街道沿いに位置していたことによる地理的・歴史的な要因もあり、今日までの長い歴史の中で鮒寿司等のなれずし、清酒、酢、酒、醤油、味噌といった多様な発酵食文化を培ってきた。
さらに、豊かな郷土料理が根付いており、伝統的な日本人の食文化の中心となるような食品や調理法が現在も市民の生活の中に息づいている。
また、古来薬草園が高島市内にはあったとの記録もあり、本市の自然風土を健康医療に生かしていた土地柄であることも推察される。
 

(豊かな発酵食文化)

 
 
 
 
   高島の郷土料理 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

(3)文化芸術に対する市民の気運

 

     
 
 

本市には、昔から高島縐や扇骨、木工等、伝統工芸に携わる人々が多く暮らしていた。また、近年では陶芸や染織等、工芸に携わる市民による工房開きのイベントや、2010年より開催されている市内の多様な住民の暮らしぶりを見せるイベント「風と土の交藝」の開催が定着する等、アートや工芸関連する活動の機運が高まっている。また、アートや工芸等を取り入れた本市での暮らしに関心を持つ市外の人々の集客等の動きも見られる。

    高島市の伝統工芸

 
 
 
 
 
 
 
風と土の工芸
 
 
 
 
 

 

(4)旧6町村による個性の発揮

     
 
 
 

 本市は2001年に5町1村の合併により誕生しており、旧6町村にはそれぞれ個性の異なる地域資源が多彩に存在している。旧マキノ町には海津の重要文化的景観をはじめ、メタセコイア並木や果樹園等の景観が広がっている。また、旧今津町にはウィリアム・メレル・ヴォーリズ設計の歴史的建造物が並ぶ町並み、旧朽木村にはかつて「朽木の杣」と呼ばれた木材の供給地としての森林が広がっている。旧新旭町には針江の重要文化的景観の他、高島縐と高島帆布の生産拠点としての町並み、旧安曇川町には藤樹書院跡や現在の住民の生活を支える商業集積、旧高島町には旧城下町の町並みが今も保存されている。

       旧6町村の多彩な地域資源